染矢敦子ブログ Tender wind

〜やさしい風が吹いてきた〜

さよなら大好きなピアノ

ピアノ1


ピアノを習ったのは、ほんの少しだけ。
小学生の頃かな。

母は、こどもが自分から言い出すまで習い事はさせないと決めていたみたいで
私は、親に連れて行かれた習い事ってない。
塾にも通ったことがない。
今、思うと母が尊重してくれたその自主性が、私の人生に大きく影響している気がする。

なんでも、まず自分でやってみたり、研究や勉強をしてみるから…
ないなら作るし、今の状態で、自分なりの工夫が大好き。
逆に頼らないので、かわいげもないけれど(笑)

ピアノは、なぜか覚えてないけど、母に自分からお願いをして通うようになった。

けど、ちょっと弾けるようになると
童謡とか歌謡曲の楽譜を見ながら、伴奏をして、歌って
バイエルとか、ピアノ曲は、面白くなくなって、割とすぐにやめてしまった。

結局、今と同じ。
歌うことが好きなんです。


 *

母はたまに、すごく粋なことをする。

21年前、ピアノを買ってくれた。
それは、私が人前で歌い始める5ヶ月前のこと。

KURZWELLというメーカーの電子ピアノ。
大好きな母がくれた大好きなピアノ。


10月20日
いつものように、ピアノで発声練習して、指の練習をして、歌っていると
スーンと何かが抜けていくような気配がして、音がでなくなった。

「えっ…?!」
ただ私はあっけにとられていた。


11月1日
あちこち飛び回ってるお忙しい修理の方にやっと来てもらった。

やっぱり…もう音はでない。

21年前のもの。部品が製造されていないので、もう修理の手はない。
「ですよね~。新しいの買わなきゃなあ」
私は笑って、話をしていた。

捨てたくなかったけど…もうただのもの。
何かが違う。もう通い合えない。
だから決心をした。

100kg近くあるんじゃないかな?
とても動かせなかったので、ネジを外して解体することにした。
始めたのはいいけど、これがまためちゃめちゃ大変で…
汗だく、痣、切り傷、最後はガーン!!足を強打(笑)

助けてくれる人はいるはずなのに、バカだなと思いながら
けど、ありがとう、ありがとう、何度も言いながら
やっぱりこれは、一人で全部したかった。


10月7日
粗大ゴミのシールを貼られたピアノは、いつのまにか、ゴミ置き場からなくなっていた。


***


歌い始めて21年
ピアノ弾き語りとして活動を始めて10年
歌で生きて行くと決めて4年

ずっと一緒にいた。
特にこの10年は、ほとんど毎日、一緒に歌った。
たくさんの歌を一緒に生み出してくれた。
CD、ことのは歌、恋を歌う、未来の絵、あなたがくれたものは
このピアノとパソコンを繋いで作ったもの。

ありがとう
ありがとう
ありがとう

君が大好きだったよ。
君がいた場所、振り向いても、もう君はいない。

ありがとう。
やっと涙が出てきたよ。
寂しいけど、さようなら。

ありがとう。
本当、ありがとうね。

新しいピアノがやって来たら…
最初に作るのは、君の歌にしよう。

ありがとう。大好きなピアノ。